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2021.12.01
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(抜粋)

第1 はじめに


近年、国民の健康志向の高まりから、健康食品が広く普及する中、インターネット等を利用した広告・宣伝も活発に行われている。
一方で、このような広告・宣伝の中には、健康の保持増進の効果等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、当該効果等を期待させるような健康増進法(平成14 年法律第103 号)上の虚偽誇大表示や不当景品類及び不当表示防止法(昭和37 年法律第134 号。以下「景品表示法」という。)上の不当表示(優良誤認表示)(以下、これらを併せて「虚偽誇大表示等」という。)に該当するおそれのある宣伝等も見受けられる。虚偽誇大表示等は、健康増進法や景品表示法による禁止の対象となる。
消費者庁は、健康食品の広告その他の表示について、どのようなものが虚偽誇大表示等として問題となるおそれがあるかを明らかにするため、景品表示法及び健康増進法の基本的な考え方を示すとともに、具体的な表示例や、これまでに景品表示法及び健康増進法において問題となった違反事例等を用いて、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(以下「本留意事項」という。)を取りまとめたので、これを公表する。
なお、本留意事項においては、景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例を具体的に示しているが、虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではない。虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示全体から、表示ごとに個別具体的に判断されることに留意する必要がある。

また、「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(平成25年12 月24 日消費者庁)は廃止する。

第2 本留意事項の対象とする「健康食品」


1 健康食品
⑴ 健康食品
本留意事項の対象となる商品は、「健康食品」である。
健康増進法第65 条第1項は、食品として販売に供する物1に関し、健康保持増進効果等について虚偽誇大な表示をすることを禁止している。そのため、本留意事項では、健康増進法に定める健康保持増進効果等を表示して食品として販売に供する物を「健康食品」という。
⑵ 保健機能食品
健康食品のうち、生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含んでおり、個別に有効性及び安全性等に関する国の審査を受け、特定の保健の目的が期待できる旨の表示を許可又は承認された食品を「特定保健用食品」、機能性関与成分によって特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示する食品を「機能性表示食品」、特定の栄養成分を含むものとして国が定める基準に従い当該栄養成分の機能を表示する食品を「栄養機能食品」といい、これらを総称して「保健機能食品」という。
保健機能食品についての表示であっても、特定保健用食品について許可を受けた表示内容を超える表示をする場合や、機能性表示食品について国の許可を受けたものと誤認される表示をする場合、栄養機能食品について国が定める基準に係る栄養成分以外の成分の機能を表示する場合などには、その表示は虚偽誇大表示等に該当するおそれがある(詳しくは第4の1参照)。

2 健康保持増進効果等
健康増進法第65 条第1項は、「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項((中略)「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない」と定めている。前記1のとおり、本留意事項では、健康保持増進効果等を表示して食品として販売に供する物を「健康食品」とし、本留意事項の対象としていることから、以下では、具体例等を用いて「健康保持増進効果等」の意味を明らかにする。
なお、「健康保持増進効果等」を表示したことをもって直ちに虚偽誇大表示に該当するものではなく、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示をする場合に虚偽誇大表示に該当することになる。
⑴ 「健康の保持増進の効果」
「健康保持増進効果等」は、「健康の保持増進の効果」と「内閣府令で定める事項」2に分類できる。「健康保持増進効果等」のうち、「健康の保持増進の効果」とは、健康状態の改善又は健康状態の維持の効果であり、具体的には、例えば、次に掲げるものである。
ア 疾病の治療又は予防を目的とする効果

例:「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に」、「末期ガンが治る」、「虫歯にならない」、「生活習慣病予防」、「骨粗しょう症予防」、「アレルギー症状を緩和する」、「花粉症に効果あり」、「インフルエンザの予防に」、「便秘改善」

イ 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果

例:「疲労回復」、「強精(強性)強壮」、「体力増強」、「食欲増進」、「老化防止」、「免疫機能の向上」、「疾病に対する自然治癒力を増強します」、「集中力を高める」、「脂肪燃焼を促進!」

ウ 特定の保健の用途に適する旨の効果
健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表現するものであって、例えば、次に掲げるものが該当する。
(ア) 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
(イ) 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
(ウ) 身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨
(エ) 疾病リスクの低減に資する旨(医学的、栄養学的に広く確立されているもの)

例:「本品はおなかの調子を整えます」、「この製品は血圧が高めの方に適する」、「コレステロールの吸収を抑える」、「食後の血中中性脂肪の上昇を抑える」、「本品には○○○(成分名)が含まれます。○○○(成分名)には食事の脂肪や糖分の吸収を抑える機能があることが報告されています。」

エ 栄養成分の効果

例:「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」

⑵ 「内閣府令で定める事項」
「内閣府令で定める事項」とは、次に掲げるものである。
ア 含有する食品又は成分の量

例:「大豆が○○g含まれている」、「カルシウム○○㎎配合」

イ 特定の食品又は成分を含有する旨

例:「プロポリス含有」、「○○抽出エキスを使用しています」

ウ 熱量

例:「カロリー○%オフ」、「エネルギー0kcal」

エ 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果

例:「美肌、美白効果が得られます」、「皮膚にうるおいを与えます」、「美しい理想の体形に」

⑶ 「健康保持増進効果等」を暗示的又は間接的に表現するもの
次に掲げるもののように、「健康保持増進効果等」を暗示的又は間接的に表現するものであっても、「健康保持増進効果等」についての表示に当たる。
ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの

例:「ほね元気」、「延命○○」、「快便食品(特許第○○○号)」、「血糖下降茶」、「血液サラサラ」

イ 含有成分の表示及び説明により表示するもの

例:「腸内環境を改善することで知られる○○○を原料とし、これに有効成分を添加することによって、相乗効果を発揮!」、「○○○(成分名)は、不飽和脂肪酸の一種で、血液をサラサラにします」、「○○○(成分名)は、関節部分の軟骨の再生・再形成を促し、中高年の方々の関節のケアに最適です」

ウ 起源、由来等の説明により表示するもの

例:「『○○○』という古い自然科学書をみると×××は肥満を防止し、消化を助けるとある。こうした経験が昔から伝えられていたが故に、×××は食膳に必ず備えられたものである。」、「×××(国名)では医薬品として販売されています」、「欧州では循環器系の薬として、○○○が使用されています」

エ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話やアンケート結果、学説、体験談などを引用又は掲載することにより表示するもの

例:○○ ○○(××県、△△歳)
「×××を3か月間毎朝続けて食べたら、9㎏痩せました。」
○○医科大学△△△教授の談
「発がん性物質を与えたマウスに○○○の抽出成分を食べさせたところ、何もしなかったマウスよりもかなり低い発ガン率だったことが発表されました」
「○○%の医師の方が、『○○製品の利用をおススメする』と回答しました」
「管理栄養士が推奨する○○成分を配合」

オ 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの

例:「××国政府認可○○食品」、「○○研究所推薦○○食品」

なお、前記⑴ア及びイのような医薬品的な効果効能を標ぼうするものは、医薬品医療機器等法上の医薬品とみなされ、野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物を除き、原則として、医薬品医療機器等法上の承認を受けずにその名称、製造方法、効能、効果に関する広告をしてはならない(医薬品医療機器等法第68 条)
したがって、前記⑴ア及びイに掲げる健康保持増進効果等の表示は、当該表示が著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させる表示であるかを問わず、医薬品としての承認を受けない限り、表示することはできない。
また、販売に供する食品につき、前記⑴ウの特定の保健の用途に適する旨の表示をしようとする者は、消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43 条第1項)。したがって、
特定の保健の用途に適する旨の表示は、当該表示が著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させるものであるかを問わず、消費者庁長官の許可を受けない限りすることができない。
さらに、前記⑴エの栄養成分の効果の表示をする者は、食品表示基準に従った表示をしなければならない。
したがって、栄養成分の効果の表示をする場合には、当該表示が著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させるものであるかを問わず、食品表示基準に従って表示をしなければならない。

第3 景品表示法及び健康増進法について


1 景品表示法及び健康増進法の目的
⑴ 景品表示法の目的
景品表示法は、「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること」を目的としている。
⑵ 健康増進法の目的
健康増進法は、「我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ること」を目的としている。
健康増進法第65 条第1項は、健康保持増進効果等についての虚偽誇大表示を禁止している。
これは、実際には表示どおりの健康保持増進効果等を有しない食品であるにもかかわらず、一般消費者がその表示を信じ、表示された効果を期待して摂取し続け、ひいては適切な診療機会を逸してしまう事態を防止することを目的とするものである。

2 景品表示法及び健康増進法上の「表示」
景品表示法及び健康増進法上の表示は、景品表示法第2条第4項に定める「表示」又は健康増進法第65 条第1項に定める「広告その他の表示」である5。具体的には、顧客を誘引するための手段として行う広告その他の表示であって、次に掲げるものをいう。
・ 商品、容器又は包装による広告その他の表示及びこれらに添付した物による広告その他の表示
・ 見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告その他の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告その他の表示(電話によるものを含む。)
・ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーン、その他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による広告
・ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告
・ 情報処理の用に供する機器による広告その他の表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)
なお、広告その他の表示において、具体的な商品名が明示されていない場合であっても、そのことをもって直ちに景品表示法及び健康増進法上の「表示」に該当しないと判断されるものではない。商品名を広告等において表示しない場合であっても、広告等における説明などによって特定の商品に誘引するような事情が認められるときは、景品表示法及び健康増進法上の「表示」に該当する。例えば、特定の食品や成分の健康保持増進効果等に関する書籍や冊子、ウェブサイト等の形態をとっている場合であっても、その説明の付近にその食品の販売業者の連絡先やウェブサイトへのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で記載しているようなときは、景品表示法及び健康増進法上の「表示」に当たる。

3 規制の対象となる者
⑴ 景品表示法の規制の対象となる者
景品表示法において規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(以下「商品等供給主体」という。)であり、広告媒体を発行する事業者(新聞社、出版社、広告代理店、放送局、ショッピングモール等)は、原則として、規制の対象とならない。
もっとも、自己の供給する商品・サービスについて一般消費者に対する表示を行っていない事業者であっても、例えば、当該事業者が、商品・サービスを一般消費者に供給している他の事業者と共同して商品・サービスを一般消費者に供給していると認められる場合は、景品表示法の規制の対象となる。

⑵ 健康増進法の規制の対象となる者
虚偽誇大表示を禁止している健康増進法第65 条第1項は、景品表示法とは異なり、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定めている。そのため、「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者」であれば規制の対象となり、食品の製造業者、販売業者等に何ら限定されるものではない。したがって、例えば、新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社等の広告媒体事業者のみならず、これら広告媒体事業者に対して広告の仲介・取次ぎをする広告代理店、サービスプロバイダー(以下、これらを総称して「広告媒体事業者等」という。)も同項の規制の対象となり得る。
もっとも、虚偽誇大表示について第一義的に規制の対象となるのは健康食品の製造業者、販売業者であるから、直ちに、広告媒体事業者等に対して健康増進法に基づく措置をとることはない。しかしながら、当該表示の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等特別な事情がある場合には、健康増進法に基づく措置をとることがある。したがって、例えば、「本商品を摂取するだけで、医者に行かなくともガンが治る!」、「本商品を摂取するだけで、運動や食事制限をすることなく劇的に痩せる!」など、表示内容から明らかに虚偽誇大なものであると疑うべき特段の事情がある場合には、表示内容の決定に関与した広告媒体事業者等に対しても健康増進法に基づく措置をとることがある。

⑶ 表示をした事業者
景品表示法及び健康増進法の規制の対象となるのは、表示をした事業者である。表示をした事業者とは、表示内容の決定に関与した事業者であり、①自ら又は他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者のみならず、②他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者、③他の事業者にその決定を委ねた事業者も含まれる。このうち、②の「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」とは、他の事業者が決定したあるいは決定する表示内容についてその事業者から説明を受けてこれを了承しその表示を自己の表示とすることを了承した事業者をいい、また、③の「他の事業者にその決定を委ねた事業者」とは、自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず他の事業者に表示内容の決定を任せた事業者をいう。
近年、インターネットを用いた広告手法の一つであるアフィリイトプログラムを用いて、アフィリエイターが、アフィリエイトサイトにおいて、広告主の販売する健康食品について虚偽誇大表示等に当たる内容を掲載することがある。このようなアフィリエイトサイト上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる。アフィリエイターやアフィリエイトサービスプロバイダーは、アフィリエイトプログラムの対象となる商品を自ら供給する者ではないため、景品表示法上の措置を受けるべき事業者には当たらないが、表示内容の決定に関与している場合には、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定める健康増進法上の措置を受けるべき者に該当し得る。
4 禁止される表示
⑴ 景品表示法上の不当表示
景品表示法第5条は、次のとおり、不当表示として禁止される表示を定めている。

(不当な表示の禁止)
第5条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当
する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 (略)

ア 優良誤認表示(景品表示法第5条第1号)
事業者が自己の供給する商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示は、優良誤認表示として禁止される。
景品表示法による不当な表示の規制は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者の適正な商品・サービスの選択を確保することを目的として行われるものである。
このため、「著しく優良であると示す」表示に当たるか否かは、業界の慣行や表示を行う事
業者の認識により判断するのではなく、表示の受け手である一般消費者に「著しく優良」と認識されるか否か(誤認されるか否か)という観点から判断される。
一般消費者は、通常、当該商品には表示どおりの効果が備わっていると認識し、また、事業者がその効果を裏付ける根拠を有しているものと期待する。よって、健康食品を供給する事業者が、顧客を誘引する手段として、実際の商品よりも著しく優良であると一般消費者に
誤認される表示をしたり、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料を有することなく表示をしたりした場合には、景品表示法上の不当表示に該当するおそれがある。
なお、「著しく」とは、当該表示の誇張の程度が、社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合をいい、「著しく優良であると示
す」表示か否かは、表示上の特定の文章、図表、写真等のみからではなく、表示の内容全体から一般消費者が受ける印象・認識により総合的に判断される。
イ 有利誤認表示(景品表示法第5条第2号)
事業者が自己の供給する商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示は、有利誤認表示として禁止される。
健康食品の広告その他の表示にあっては、健康保持増進効果等についての表示のみならず、価格その他の取引条件についての表示が景品表示法上の不当表示に該当することもあるので留意する必要がある。
⑵ 健康増進法上の虚偽誇大表示
健康増進法第65 条第1項は、次のとおり、何人も虚偽誇大表示をしてはならないと定めている。

(誇大表示の禁止)
第65 条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

ア 事実に相違する表示
「事実に相違する」とは、広告等に表示されている健康保持増進効果等と実際の健康保持増進効果等が異なることを指す。このため、例えば、十分な実験結果等の根拠が存在しないにもかかわらず、「3か月間で○キログラムやせることが実証されています。」と表示する場合や、体験談そのものや体験者、推薦者が存在しないにもかかわらず、体験談をねつ造した場合、ねつ造された資料を表示した場合等は、これに該当することとなる。
イ 人を誤認させる表示
「人を誤認させる」とは、食品等の広告等から一般消費者が認識することとなる健康保持増進効果等の「印象」や「期待感」と実際の健康保持増進効果等に相違があることを指す。
例えば、
・ 特定の成分について、健康保持増進効果等が得られるだけの分量を含んでいないにもかかわらず、生活習慣を改善するための運動等をしなくても、とり過ぎた栄養成分若しくは熱量又は体脂肪若しくは老廃物質等を排出し、又は燃焼させることをイメージさせる
・ 健康保持増進効果等に関し、メリットとなる情報を断定的に表示しているにもかかわらず、デメリットとなる情報(効果が現れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと等)が表示されておらず、又は著しく消費者が認識し難い方法で表示されている
・ 体験者、体験談は存在するものの、一部の都合の良い体験談のみや体験者の都合の良いコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示がされている
・ 健康保持増進効果等について公的な認証があると表示しておきながら、実際には、当該効果等に係る認証を受けていない
・ 根拠となる学術データのうち、当該食品にとって不都合な箇所を捨象し、有利な箇所のみを引用する場合などは、一般的にこれに該当する。
なお、かかる判断においては、当該表示を見て一般消費者が受ける「印象」、「期待感」と
実際のものに相違があると認められれば、実際に一般消費者が誤認したという結果まで必要としない。

ウ 「著しく」
健康増進法第65 条第1項は、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康保持増進効果等について「著しく」事実に相違する表示又は「著しく」人を誤認させるような表示はしてはならないと定めている。広告は、通常、ある程度の誇張を含むものであり、一般消費者もある程度の誇張が行われることを通常想定しているため、社会一般に許容される程度の誇張であれば取締りの対象とはせず、「著しく」人を誤認させるような表示を禁止する趣旨である。
具体的に何が「著しく」に該当するかの判断は、個々の広告その他の表示に即してなされるべきであるが、例えば、一般消費者が、その食品を摂取した場合に実際に得られる真の効果が広告その他の表示に書かれたとおりではないことを知っていれば、その食品に誘引されることは通常ないと判断される場合は、「著しく」に該当する。
また、近年、インターネット上の口コミサイト7やブログ等において、実際には特定の健康食品の広告宣伝であるにもかかわらず、その旨を明示せずに、当該食品の購入者個人による自発的な表明であるかのようになされる広告宣伝が社会的な問題となっている。このような広告宣伝は、一般消費者を誤認させるおそれがあり、その商品の健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する場合又は著しく人を誤認させるような場合には、虚偽誇大表示等に該当するおそれがある。
例えば、健康食品を販売する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、その事業者が販売する健康食品に関するサイトの口コミ情報コーナーに口
コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上でその健康食品に対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、その健康食品の健康保持増進効果等について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させることは、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。一般消費者は、通常、口コミサイト等の口コミ情報は中立・公正な第三者によって書き込まれたものと認識することから、このような口コミ情報は、ある程度の誇張がなされることが想定されている広告よりも、一般消費者の商品選択に与える影響が一般的に大きいと考えられる。そのため、健康食品の販売事業者等が書き込んだ(第三者に口コミ等を書き込むように依頼した場合を含む。)口コミ情報によって表示される健康保持増進効果等と実際の健康保持増進効果等に相違がある場合には、通常、「著しく」に該当する。

5 不実証広告規制(景品表示法第7条第2項)
景品表示法第5条第1号により禁止される優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁は、その表示を行った事業者に対し、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる(景品表示法第7条第2項)。資料の提出を求められた事業者が何らの資料も提出しない場合や、表示の裏付けとなる合理的な根拠とは認められない資料を提出した場合には、その表示は不当表示(優良誤認表示)とみなされ、その表示により実際のものや競争事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示すものであることを消費者庁長官が立証しなくても、不当表示として措置命令を行うことができる。
景品表示法第7条第2項の適用対象となる表示とは、景品表示法第5条第1号が適用される商品・サービスの内容に関する表示である。もっとも、合理的な根拠なく商品・サービスの効果や性能の著しい優良性を示す表示を迅速に規制できるようにするという景品表示法第7条第2項の趣旨に鑑み、商品・サービスの内容に関する表示の中でも、表示されたとおりの効果、性能があるか否かを客観的に判断することが難しい痩身効果、空気清浄機能等のような効果、性能に関する表示に対して同項を適用することとしている。健康食品の健康保持増進効果に関する表示も
上記の適用対象に含まれるため、同項の考え方を理解することは極めて重要である。
景品表示法第7条第2項の適用についての考え方、表示の裏付けとなる資料についての「合理的な根拠」の判断基準等は、「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―」(平成15 年10 月28 日公正取引委員会)を参照されたいが、同項の運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保するため、これまで消費者庁が同項(平成28 年4月1日の改正前の景品表示法第4条第2項を含む。)を適用して健康食品の表示に関して措置命令を行った事例において、「合理的な根拠」と認められなかった理由を次のとおり取りまとめた。
⑴ 提出資料が客観的に実証された内容のものでないもの

例:提出資料が商品に含まれる成分に関するウェブサイト上の情報や、ショッピングサイトでのレビューの内容をまとめたものにすぎず、表示された効果に関連する分野を専門として実務、研究、調査等を行う専門家、専門家団体若しくは専門機関(以下「専門家等」という。)の見解又は学術文献ではなかった。
例:商品の原材料の効果に関する文献が提出されたが、査読者のいる学術誌に掲載されたものではなく、専門家等の見解又は学術文献とは認められないものであった。
例:商品を用いたヒト試験の報告書が提出されたが、そのヒト試験において対照品として用いられたものが、商品とは全く別の商品であった(特定成分の効果を検証する試験を行う場合は、その特定成分を含む試験品と、その試験品からその特定成分のみを除外したものを対照品とする必要がある。)。
例:痩身効果を標ぼうする商品に関し、商品を用いたヒト試験の報告書が提出されたが、その試験における被験者の選定が恣意的であった(試験品摂取群が対照品摂取群に比べ、体重が重く、体脂肪率が高かった。)。
例:痩身効果を標ぼうする商品に関し、商品を用いたヒト試験の報告書が提出されたが、その試験の被験者の食事内容やカロリー摂取量が記録されていなかった。

⑵ 表示された効果と提出資料によって実証された内容が適切に対応していないもの

例:提出資料が、商品に含まれる成分に関するウェブサイト上の情報をまとめたものであって、表示された本件商品自体の効果を実証するものではなかった。
例:商品に含有される成分に関する研究論文が提出されたが、その成分に関する一般的な記述があるにすぎず、その商品の効果を実証するものではなかった。
例:商品の成分に関する研究論文が提出されたが、その論文における被験者の成分摂取量と商品に含まれる量が著しく乖離しており、その商品を摂取することによる効果を実証するものではなかった。
例:商品の成分に関する試験データが提出されたが、マウスやラットによる動物実験データであって、ヒトへの有効性を実証するものではなかった。

6 違反行為に対する措置
⑴ 景品表示法違反行為に対する措置
消費者庁は、景品表示法違反被疑事件に対して調査を行い、違反行為が認められたときは、当該事業者に対し、景品表示法第7条第1項の規定に基づき、一般消費者に与えた誤認を排除すること、再発防止のための必要事項やその違反行為を取りやめることなどを命ずること(措置命令)ができ、措置命令を行った際は公表する。
この際、消費者庁は、書面による弁明、証拠の提出の機会を与えた上で、措置命令を行っている。
措置命令に違反した者には、景品表示法第36 条の規定に基づき、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科され、情状により、懲役と罰金が併科されることもある。この罰則に加え、措置命令に違反した事業者(法人、自然人又は法人でない団体)にも3億円以下の罰金刑が科される(景品表示法第38 条第1項第1号、第2項第1号)。さらに、措置命令違反の計画を知り、その防止に必要な措置を講ぜず、又はその違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じ
なかった当該法人(当該法人で事業者団体に該当するものを除く。)の代表者に対しても、300万円以下の罰金刑が科される(景品表示法第39 条)。
また、各都道府県においても景品表示法が運用されている。都道府県知事は、景品表示法に違反する行為があると認めるときは、その行為を行った事業者に対し、景品表示法第7条第1項の規定に基づき措置命令ができる。
平成28 年4月1日以降に事業者が不当な表示をする行為をした場合、景品表示法第5条第3号に該当する表示に係るものを除き、消費者庁長官は、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じなければならない(景品表示法第8条第1項本文)。都道府県知事は課徴金納付命令権限を有していないため、課徴金納付命令があることが見込まれる景品表示法違反被疑事件については、消費者庁が単独で、又は消費者庁と都道府県が共同して(都道府県は措置命令に関する事実を、消費者庁は課徴金納付命令に課する事実を)調査の上、所定の要件を満たした場合、消費者庁長官が課徴金納付命令を行うこととなる。

⑵ 健康増進法違反行為に対する措置
消費者庁は、健康増進法第65 条第1項の規定に違反して表示した者がある場合は、その者に対し、当該表示を改善するよう指導を行う。
また、消費者庁は、健康増進法第66 条第1項に基づき、同項の規定に違反して表示した者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができ、勧告を行った際は公表する。
ここでいう「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」とは、例えば、表示されている健康保持増進効果等に関する苦情等が関係機関に数多く寄せられている場合や、当該食品を摂取した者が健康を害したとする苦情等が関係機関に相当数寄せられている場合、「血糖値を緩やかに下げる」「血圧を下げる」等の健康保持増進効果等に係る虚偽誇大表示がなされることにより、診療を要する疾患等を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがある場合は、これに当たるものといえる。
また、勧告を受けた者が、正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる(健康増進法第66 条第
2項)。当該命令に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金が科される(健康増進法第71 条)。
なお、各都道府県、保健所設置市及び特別区においても健康増進法が運用されている。都道府県知事、保健所設置市長及び特別区長は、健康増進法第65 条第1項の規定に違反して表示した者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

第4 景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例


虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではない。また、一般消費者が表示から受ける認識、印象、期待は、表示された一部の用語や文言のみで判断されるものではなく、当該用語等のほか周辺に記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、時にはコントラストも含め、表示
全体で判断することとなる。したがって、虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示ごとに個別具体的に判断しなければならず、一律に違反となる表示例、又は違反とならない表示例を示すことは容易ではない。
しかしながら、景品表示法及び健康増進法の運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保するとともに、一般消費者が適正な商品選択を行うための重要な参考となるよう、虚偽誇大表示等に該当するおそれのある具体的な表示例を次のとおり示すこととする。
1 保健機能食品において問題となる表示例
保健機能食品についての表示であっても、以下のような場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
⑴ 特定保健用食品
ア 許可を受けた表示内容を超える表示
表示を許可された保健の用途を超える表示を行うことは、許可表示から期待される保健の用途を超える過大な効果があるかのような誤認を与えるとともに、このような過大な効果についても、国が許可しているかのような誤認を消費者に与えることから、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:許可を受けた表示内容が「本品は、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える○○を含んでおり、脂肪の多い食事をとりがちな人の食生活改善に役立ちます。」であるにもかかわらず、広告
や容器包装等において「体脂肪を減らす」9などと表示すること
例:許可を受けた表示内容が「本品は、○○を含んでおり、糖の吸収を穏やかにするので、血糖値が気になり始めた方に適した食品です。」であるにもかかわらず、広告や容器包装等に「血糖値を下げる」などと表示すること
例:許可を受けた表示内容が「食後の中性脂肪の上昇を抑える」であるにもかかわらず、広告や容器包装等において「食後の」という文言を省略して、単に「中性脂肪の上昇を抑える」と表示することにより、中性脂肪の上昇を抑える効果が継続的にあるかのように表示すること
例:許可を受けた表示内容が「本品は、コレステロールの吸収を抑える働きがある○○を含んでいるので、コレステロールが気になる方に適した食品です」であるにもかかわらず、広告や容器包装等において、単に「コレステロールの吸収を抑える」と表示することにより、当
該特定保健用食品自体がコレステロールの吸収を抑える効果があるかのように表示すること
例:許可を受けた表示内容が「本品は、脂肪の吸収を抑えるのを助ける」であるにもかかわらず、広告や容器包装等において、単に「脂肪の吸収を抑える」と表示することにより、当該商品に脂肪の吸収を抑える効果があるかのように表示すること

イ 試験結果やグラフの使用方法が不適切な表示
広告や容器包装等において試験結果やグラフを使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではない。しかし、試験結果やグラフを不適切に使用することにより、消費者に誤認される表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:実際には、試験対象者がBMI の数値が25 以上の者に限定されているにもかかわらず、当該試験条件を明瞭に表示しないことにより、標準的な体型の者にも同様の効果があるかのように表示するなど、試験条件(対象者、人数、摂取方法等)を適切に表示しない場合
例:試験結果を示すグラフを極端にトリミング(スケール調整等)することにより、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示すること
例:実際には、複数の試験結果があるにもかかわらず、有意差の大きい試験結果のみを広告等において使用することにより、全ての試験結果において有意差のある結果が得られたかのように表示すること

ウ アンケートやモニター調査等の使用方法が不適切な表示
広告や容器包装等においてアンケートやモニター調査等の結果を使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではない。しかし、アンケートやモニター調査等の結果を不適切に使用することにより、消費者に誤認される表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、アンケート結果等を含む表示内容全体から当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。

例:実際には、アンケートの質問内容が「本商品を購入したことに満足していますか」であるにもかかわらず、当該アンケート結果として「○%の人が効果を実感した」などと表示する
など、調査条件(質問内容、対象者、人数等)を適切に表示しない場合
例:実際には、商品の効果を実感できなかった旨の体験談が相当数あるにもかかわらず、一部
の都合の良い体験談や体験者の都合の良いコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示をすること

エ 医師又は歯科医師の診断、治療等によることなく疾病を治癒できるかのような表示ガン、糖尿病、高血圧、心臓病、肝炎、虫歯など、通常医師又は歯科医師の診断、治療等を受けなければ保健衛生上重大な結果を招くおそれのある疾病について、医師又は歯科医師の診断、治療等によることなく治癒できるかのような表示は、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、このような表示を行うことにより、診療を要する疾患等を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがあるため、このような表示は、原則として、「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがある」と認められ、健康増進法第66 条第1項の規定に基づく勧告の対象となる。

例:「本商品を摂取すれば、医者に行かずともガンが治る!」などと表示すること
例:「本商品を1日1本飲むだけで、食事療法や薬に頼らず糖尿病を改善!」などと表示すること

⑵ 機能性表示食品
ア 届出内容を超える表示
機能性表示食品について、届出をした表示内容を超える表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:届出表示が「本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれます。○○には、血中コレステロールを低下させる機能があることが報告されています。」であるにもかかわらず、「コレステロールを下げる」と表示するなど、商品自体に機能があるとの根拠を有していないにもかかわらず、届出表示の一部を省略することにより、商品自体に機能性があるかのように表示すること
例:機能性関与成分が「難消化性デキストリン」のみであるにもかかわらず、「難消化性デキストリン及び大豆イソフラボンが含まれるので、内臓脂肪を減らすのを助ける機能があります。」と表示するなど、届け出た機能性関与成分以外の成分を強調して表示することにより、当該成分が機能性関与成分であるかのように表示すること

イ 特定保健用食品と誤認される表示
機能性表示食品は、特定保健用食品とは異なり、表示される効果や安全性について国が審査を行った上で消費者庁長官が個別に許可をしたものではない。そのため、機能性表示食品を特定保健用食品と誤認させる表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、広告や容器包装等において、「特定保健用食品ではありません」等の表示をしたとしても、それだけで虚偽誇大表示等に該当しないと直ちに判断されるものではない。

例:機能性表示食品と特定保健用食品の両方を含むシリーズ商品を並べて表示する場合に、許
可を受けた保健の用途を強調するなどして、シリーズ商品全体が特定保健用食品であるか
のような表示をすること
例:特定保健用食品として消費者に認知度の高い既存の食品と、商品名やデザイン、含有成分、キャッチコピー等を類似させるなど、当該特定保健用食品の保健の用途を連想させる表示
をすること

ウ 国の評価、許可等を受けたものと誤認される表示
機能性表示食品は、表示される効果について国が審査を行った上で許可等を与えたものではない。したがって、国による評価、許可等を受けたものと誤認される表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:「消費者庁承認」、「消費者庁長官許可」、「○○省承認」、「○○省推薦」、「○○省確認済」、「○○政府機関も認めた」と表示するなど、国や公的な機関により許可や承認を受けたものと誤認される表示をする場合

エ 表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている場合
機能性表示食品は、表示される効果について国が審査を行った上で消費者庁長官が個別に許可をしたものではない。したがって、表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠くと認められる場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:届出資料に記載されたヒト試験の結果では、体脂肪率や体脂肪量、総脂肪面積が被験食群とプラセボ群との間で肯定的な結果が得られていないにもかかわらず、「体脂肪を減らす機能を有する」と表示すること
例:届出資料に記載された機能性に関する研究レビューが、肯定的な論文だけを意図的に抽出したものであるにもかかわらず、「本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれます。
○○には、○○の機能があることが報告されています。」と表示すること
例:限られた指標のデータを用いて得られた根拠に基づく部分的な機能であるにもかかわらず、「身体の特定の部位(目、関節、脳等)の健康を維持する」等の当該部位全体に関する機能があると誤認される表示をすること
例:「免疫細胞の数を増やす」、「体重を減らす」等の生体に作用する機能が不明確な表示をすること
例:一方向のデータに基づくものであるにもかかわらず、「血圧を健康に保つ」、「中性脂肪の改善に役立つ」等の両方向に適正に作用することを期待させる表示をする場合

⑶ 栄養機能食品
ア 国が定める基準に係る栄養成分以外の成分の機能の表示
栄養機能食品は、特定の栄養成分を含むものとして国が定める基準に従い当該栄養成分の機能を表示することができる食品であり、国が定める基準に係る栄養成分以外の成分の機能の表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:国の定める基準に係る栄養成分ではないアミノ酸が含まれる食品について、「アミノ酸は脂肪燃焼を促進させる栄養素です」などと表示すること

イ 国が定める基準を満たさない食品についての栄養成分の機能の表示
国が定める基準を満たさないにもかかわらず、栄養成分の機能を表示する場合、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:商品の一日当たりの摂取目安量に含まれるカルシウムの量が100mg であるにもかかわらず、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」と表示すること

2 保健機能食品以外の健康食品(いわゆる健康食品)において問題となる表示例
⑴ 医師又は歯科医師の診断、治療等によることなく疾病を治癒できるかのような表示動脈硬化や糖尿病のような疾患は、医師による診断・治療等が必要であり、健康食品において、このような表示があった場合、一般消費者は、当該健康食品を摂取すれば、医師による診断・治療等によらなくとも、疾病が治癒するものと誤認するおそれがある。したがって、このような表示は、虚偽誇大表示等に該当するおそれがある。また、このほかにも、医師による診断・治療等によらなければ治癒が期待できない疾患について、疾病等を有する者、疾病等の予防を期待する者を摂取対象とする旨の表現を用いた表示は、一般消費者に疾病治療又は予防効果があるかのような誤認を与えるものであり、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、このような表示を行うことにより、診療を要する疾患等を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがあるため、このような表示は、原則として、「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがある」と認められ、健康増進法第66 条第1項の規定に基づく勧告の対象となる。

例:「この商品を飲めば、医者に行かなくとも動脈硬化を改善!」
「薬に頼らずに、糖尿病や高血圧を改善したい方にオススメです」
「本品に含まれる○○○、△△△等の成分は、昔から生活習慣病の予防に効くと言われており、本品を飲めば医者いらずです」

⑵ 健康食品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのような表示
健康食品の中には、痩身効果を標ぼうするものが多く見受けられる。しかし、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回らない限り、人は痩せないのであって、特定の健康食品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に痩身効果が得られることはない。適切な運動や食事制限をしながら、人が痩せることができるのは、6か月間で4kg から5kg 程度までである。したがって、このような表示は、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:「決して食事制限はしないでください。この○○○があなたのムダを強力サポート」
「食べたカロリーをなかったことに」
「一日たった3粒飲むだけで、楽に痩せることができました!」
「寝る前に飲むだけで、何もしなくても、勝手に痩せていきます」
「普段の食事を変えなくても、1か月で10kg も減りました」
「痩せるためにもう努力はいりません!○○○を飲むだけで楽ヤセできます」
「飲むだけで、ぽっこりお腹とサヨナラできます。ラーメンも、ハンバーグも、ステーキも好きなだけ食べてOKです」

⑶ 最上級又はこれに類する表現を用いている場合
通常、健康の保持増進の効果は、個々人の健康状態や生活習慣等多くの要因により異なっており、現存する製品など一定の範囲の中で最高の効果を発揮することは立証できない。したがって、「最高級」、「最高レベル」、「日本一」、「ベスト」といった最上級の表現を用いる広告等は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。また、「絶対」、「誰でも簡単に」等の表現を用いて、どのような場合でも必ず効果があると一般消費者に認識される表示についても、最上級を用いた表示と同様、客観的に立証することが困難であるため、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:「最高級ミネラル成分の配合により、絶対に痩せられます!!」
「最高のダイエットサプリメント!絶対痩せられる○○○サプリ!」
「血圧に作用するサプリメントの中で、日本一の品質です」

⑷ 体験談の使用方法が不適切な表示
実際に商品を摂取した者の体験談を広告等において使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではない。しかし、体験談を不適切に使用することにより、消費者に誤認される表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、体験談等を含む表示内容全体から、当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。

例:実際には、体験者が存在しないにもかかわらず、体験者の存在をねつ造したり、体験者のコメントをねつ造する場合
例:実際には、食事療法や薬物療法を併用しているにもかかわらず、その旨を明瞭に表示せずに、健康食品を摂取するだけで効果が得られたかのような体験談を表示する場合
例:一部の都合の良い体験談のみや体験者の都合の良いコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示がされている場合
例:メリットとなる情報を断定的に表示しているにもかかわらず、デメリットとなる情報(効果が現れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと等)が示されていない、又は消費者が認識し難い方法で表示されている場合

⑸ 体験結果やグラフの使用方法が不適切な表示
広告や容器包装等において試験結果やグラフを使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではない。しかし、試験結果やグラフを不適切に使用することにより、消費者に誤認される表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。

例:実際には、試験対象者がBMI の数値が25 以上の者に限定されているにもかかわらず、当該試験条件を明瞭に表示しないことにより、標準的な体型の者にも同様の効果があるかのよ
うに表示するなど、試験条件(対象者、人数、摂取方法等)を適切に表示しない場合
例:試験結果を示すグラフを極端にトリミング(スケール調整等)することにより、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示すること
例:実際には、複数の試験結果があるにもかかわらず、有意差の大きい試験結果のみを広告等において使用することにより、全ての試験結果において有意差のある結果が得られたかのように表示すること

⑹ 行政機関等の認証等に関する不適切な表示
医療・薬事・健康増進等、国民の健康増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等による認証、推奨等(以下「認証等」という。)を取得していることを表示していても、当該認証等の制度が実在しない場合や、当該認証等の制度の趣旨とは異なる趣旨で表示することにより、健康保持増進効果等について表示どおりの認証等を受けたものと誤認させる場合には、虚偽誇大表示等に該当するおそれがある。

例:「消費者庁承認済みのダイエット用健康食品です」
「○○外国政府機関も認めたダイエット用健康食品です」
「世界保健機構(WHO)許可」

⑺ 価格等の取引条件について誤認させる表示
健康保持増進効果等について人を誤認させるものではないため、健康増進法上の虚偽誇大表示には該当しないが、価格等の取引条件について、実際のものや競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は、有利誤認表示(景品表示法第5条第2号)として景品表示法上禁止される。健康食品の広告等においても、取引条件について一般消費者に誤認される表示をする場合は、その表示は景品表示法上の不当表示に該当する。
なお、不当な価格表示についての景品表示法の考え方については、「不当な価格表示についての景品表示法の考え方」(平成12 年6月30 日公正取引委員会)を参照されたい。

例:「今月末までの限定キャンペーン!定期購入の初回分を無料で提供します!」と表示しているにもかかわらず、当該月末経過後においても、同様のキャンペーンを継続している場合
例:「通常3,000 円で販売している商品ですが、初めて申込みをしていただいた方には、特別に980 円で提供します」と表示しているにもかかわらず、実際には、当該商品を最近相当期間にわたって3,000 円で販売したことがない場合

3 問題となる広告例
上記1及び2においては、虚偽誇大表示等に該当するおそれのある表示例を示したが、前述のとおり、虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではない。また、一般消費者が表示から受ける認識、印象、期待は、表示された一部の用語や文言のみで判断されるものではなく、当該用語等のほか周辺に
記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、時にはコントラストも含め、表示全体で判断することとなる。
以下では、虚偽誇大表示等に該当するか否かを「表示全体で判断する」との意味を明らかにするため、具体的な広告例を用いて、留意すべき事項について解説する。

⑴ 痩身効果についての広告例

ア 健康保持増進効果等
本広告は、太った男性の画像(②)や、太っていた女性が痩せてスリムになった使用前後の画像(⑧)などとともに、大きな文字で「ブヨブヨお腹が、たったの1粒で・・・!」(①)、「飲むだけでドンドン落ちる!」(⑥)といった本商品による痩身効果を暗示する文言などのほか、本商品を摂取した者の体験談として、「飲み始めてすぐに効果が!こんなに簡単にスリムになれるなんて!」(⑨)などと記載することにより、一般消費者に対し、本商品を摂取することによる痩身効果を訴求するものである。
このような痩身効果は、「人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果」に当たり、健康保持増進効果等に該当する。
イ 表示内容全体から受ける一般消費者の印象
本広告には、「本商品を飲めば、運動や食事制限をせずに痩せることができる」などといった直接的な表現はない。しかし、「お腹のブヨブヨも気になるんだけど、やっぱり美味しいものが食べたい!」(③)、「食事制限したくない方、運動も苦手という方必見です!」(④)などと記載するとともに、本商品を摂取した者の体験談として「運動は苦手だし、食事制限も長続きせず・・」(⑤)、「普段の食生活や生活習慣を変えずに、たった1粒飲むだけで、スグに体型に変化が出てきた」(⑦)などと記載することにより、本商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をせずに痩身効果が得られるかのように暗示的に表現しているものといえる。
また、「短期間で著しく痩せる」などの直接的な表現はないが、4週間で約15kg の減量に成功した使用前後の画像(⑧)、「短期間で驚きの変化が実感できます」(⑩)との文言、本商品を摂取した者の体験談として、「飲み始めてすぐに効果が!こんなに簡単にスリムになれるなんて!」(⑨)との文言などを記載することにより、短期間で容易に著しい痩身効果を得られるかのように暗示的に表現しているものといえる。
本広告においては、「たった1粒で・・・!」「飲み始めてすぐに効果が!」「変化を実感することができます」など、直接的に「痩せる」とは表現せず、また、どの程度の期間でどの程度の痩身効果が得られるかは明らかにしていない。しかし、表示内容全体からすれば、本広告における「効果」や「変化」が痩身効果を意味していることは明らかであり、本商品を摂取することによって短期間で著しい痩身効果を得られるとの印象を一般消費者に与える。
以上のとおり、本広告は、本広告の表示内容全体から、あたかも、本商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのように表示しているものといえる。しかし、実際には、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回らない限り、人は痩せないのであって、特定の健康食品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に著しい痩身効果が得られることはないのであるから、本広告は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、本広告には、体験談について、「個人の感想であり、効果には個人差があります。」(⑪)との注意書きがあるが、このような表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、体験談等を含む表示内容全体から本商品に痩身効果があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。
ウ その他の留意事項(有利誤認表示)
「今なら、初回ご注文の方に限り、通常価格6,000 円のところ、3,000 円でご提供します!」(⑫)との表示をしているが、実際には最近相当期間にわたって本商品を6,000 円で販売したことがない場合などには、景品表示法上の不当表示(有利誤認表示)に該当するおそれがある。
また、「30 日間全額返金保証」(⑬)と表示しているにもかかわらず、実際には、返金を受けるためには特段の条件がある場合などには、景品表示法上の不当表示(有利誤認表示)に該当するおそれがある。
⑵ 糖尿病についての広告例

ア 健康保持増進効果等
本広告は、「ご飯や麺類、甘い物に気をつけているけど・・・もう糖なんて気にしない!」(①)、「糖分を制限されている方を安心にサポート」(②)などといった本商品による糖尿病の改善効果を暗示する文言などのほか、本商品の原料であるヨモギに含まれる成分の説明として、「糖の吸収を抑える働きがあることが専門機関による研究で明らかにされています。」(⑤)、「糖の吸収を緩やかにする働きが確認されており、血糖値やコレステロールの改善に必要な栄養素です。」(⑥)、「高血糖を防ぐ働きがあり、肥満の抑止はもちろん糖尿病の改善にも役立つことが確認されています。」(⑧)との文言、「空腹時または食後の値が気になる」、「お酒や甘い物の制限が辛い」(③)といった悩みを有する者に対し、「そんな方には、『新緑よもぎ茶』」との文言などを記載することにより、一般消費者に対し、本商品を摂取することによる糖尿病の改善効果を訴求するものである。
このような糖尿病の改善効果は、「疾病の治療又は予防を目的とする効果」に当たり、健康保持増進効果等に該当する。
イ 表示内容全体から受ける一般消費者の印象
本広告には、「本商品を飲めば、食事療法や薬物治療によることなく、糖尿病を改善する効果を得られる」などといった直接的な表現はない。しかし、「ご飯や麺類、甘い物に気をつけているけど・・・もう糖なんて気にしない!」(①)、「『糖尿対策』には、運動や食事制限が近道とは分かっていても・・・どれも長続きしないし、好きな物も食べたい・・・。薬に頼らなくても、手軽に、短期間で『実感』したいけど、そんな便利なものなんて無いよね・・・。」(④)との文言や、ヨモギに含まれる食物繊維やβカロテンには高血糖を防ぐ働きがあるとの説明とともに、「この食物繊維を効率よく摂取することが『正常』に近づく一歩です!」(⑦)、「βカロテンを摂取して、『改善』に近づきましょう!」(⑨)との文言、「『国産ヨモギ』の自然パワーで、薬に頼らず、『数値改善』、『数値正常』を実感してください。」(⑩)との文言、本商品を摂取した者の体験談として、「飲み始めてすぐに、体の変化を“実感”することができ、2か月くらいで、その『実感』が数値にも現れました。(中略)おかげ様で今では大好きな揚げ物やお酒も楽しむことができるようになり、毎日の食事が楽しみになりました。」(⑪)などといった文言を記載することにより、本商品を摂取するだけで、食事療法や薬物治療によることなく、糖尿病を改善する効果を得られるかのように暗示的に表現しているものといえる。
本広告においては、「糖なんて気にしない!」(①)、「糖尿対策」(④)、「『数値改善』、『数値正常』を実感してください」(⑩)など、直接的に「糖尿病を改善する」とは表現していないが、「糖尿」が糖尿病を意味していることは明らかであり、本商品を摂取するのみで正常値を超える血糖値を正常値に戻して糖尿病を改善する効果を得られるとの印象を一般消費者に与える。
以上のとおり、本広告は、本広告の表示内容全体から、あたかも、本商品を摂取するだけで、食事療法や薬物治療によることなく、糖尿病を改善する効果が得られるかのように表示しているものといえる。しかし、実際には、糖尿病は食事療法や薬物治療を含む医師の診断・治療によらなければ一般的に改善が期待できない疾患であって、特定の健康食品を摂取するだけで、食事療法や薬物治療によることなく、糖尿病を改善する効果が得られることはないのであるから、本広告は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
なお、このような表示を行うことにより、糖尿病を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがあるため、このような表示は、原則として、「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがある」と認められ、健康増進法第66条第1項の規定に基づく勧告の対象となる。

第5 違反事例


⑴ 景品表示法違反事例
ア 措置命令(「違反法条」は、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律
(平成26 年法律第118 号)による改正前の景品表示法の条文である。)

No事件名事件概要違反法条
1K社に対する件
(H28.3.31)
K社は、認知症、ガン等の各種疾病を予防する効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、自社ウェブサイト(商品紹介ページ、これにリンクさせたページ及び更にそれにリンクさせたページ全体を商品の広告として認定)において、
① 「認知症の予防・改善」、「ガン予防」、「ウイルス感染を防ぐ」
② 「心臓病を予防する理由」、「アルツハイマー病に効果がある理由」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、認知症、ガン等の各種疾病を予防する効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
2L社に対する件
(H28.3.30)
L社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、
① 「運動量は変わらないのに遂に出産前のスタイルに!」
② 「たとえば、脂肪1kg(約7,000kcal)を燃やすにはこんな運動&食事制限が必要なんです。」、「ウオーキング約63時間!」、「平泳ぎ約13 時間!」、「絶食約7日!」、「こんなに?できない!」
③ 「そこで注目したいのが人が本来持っている“メラメラ力!”という名の力!」、「そうです!このメラメラ力!をサポートすれば本来の力をぐんぐん高めることが出来るのです!!」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限することなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
3M社に対する件
(H28.3.15)
M社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、① 「今までにない スッキリ・・・・の理由とは!?」、「秘密その1 新成分ガセリ菌SP配合!!」、「新成分ガセリ菌SPが強力にダイエッターを襲う!! あなたをモテボディに!!」
② 「甘いものは我慢したくない!という方にオススメ! 糖質完全サポート成分ギムネマをたっぷり配合! 砂糖は人間が働くためのエネルギーとしてとても必要な成分ですが、摂り過ぎてしまうと脂肪として蓄えられます。糖質は脂肪よりも先にエネルギー源として代謝されるので、砂糖をたくさん摂ってしまうといつまでも脂肪がエネルギーに変わりません。」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限することなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は資料を提出しなかった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
4N社に対する件
(H27.12.3)
N社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、情報誌等において、
① 「『ダイエットサポートがこの1粒で! ※目安 短期間で-3kgの秘密とは・・・?』」
② 「寝る前にたった1粒。 短期間ではっきりと変化が」
③ 「届いてすぐに飲んでみる。なんのことはない健康食品・・・と思ったら、短期間ではっきりとした変化が!続けていると、規則正しくスッキリしはじめたのがよくわかる。」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく短期間で容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
5O社に対する件
(H27.11.10)
O社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、牛乳販売業者を通じて一般消費者に配布したチラシにおいて、
① 「ネバネバパワーと燃焼力で、強力なスッキリ感!」
② 「16kg も痩せて、お腹ウエストスッキリ!」
③ 「超低カロリーだから、無理な食事制限なし!1日1杯でOK!」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
6P社に対する件
(H27.5.22)
P社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、新聞折り込みチラシ等において、
① 「ムリな食事制限なしで12kg 体重減!」
② 「私のダイエットはもうキツイ我慢なし!」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
7Q社に対する件
(H27.2.17)
Q社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、ラジオ放送による広告において、
① 「油っこいものもお好きなだけ、どうぞ召し上がってください。様々な機関で食事で摂り過ぎたアブラの吸収を抑えると発表されている成分、キノコキトサンが、アブラを徹底ガード。さらに、ダイエット素材のリーンガードが、既に体についてしまった余分なアブラもすっきりとさせて、スリムを徹底的にサポートしてくれるんです。」
② 「カロリー制限も激しい運動も無しで、ダイエットが目指せますね。」
等と、あたかも、対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
8R社に対する件
(H27.2.10)
R社は、ガン等の疾病及び老化を予防する効果を標ぼうする清涼飲料水を販売するに当たり、新聞折り込みチラシにおいて、
① 「ガンの原因である活性酸素を除去する“プラチナナノコロイド”配合飲料 プラチナビューティーウォーター」
② 「プラチナビューティーウォーターは、病気・老化の原因である活性酸素を除去し健康・美容を増進する『プラチナナノコロイド』、脂肪燃焼の働きがある『L-カルニチン』、中性脂肪・コレステロールを低下させる『難消化性デキストリン』が含まれています。」
③ 「ガンなどの病気・老化の原因の80%以上、お肌のシミ・たるみなどは、活性酸素が原因と言われています。」、「プラチナを約2ナノメートル(50 万分の1ミリメートル)の大きさにしたプラチナナノコロイドは、活性酸素を除去し、体外に排出されます。」等と、あたかも本件商品を摂取するだけで、ガン等の疾病及び老化を予防する効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
S社に対する件
(H26.9.19)
S社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、
① 「食べたこと、なかったコトに!?」
② 「3大パワーでオールクリア!『あまい』も『こってり』も『どっしり』もまとめて○○○」
③ 「これらの自然植物が、糖分・脂質・炭水化物のカロリーをサポート。」
④ 「ダイエット中の“食べたい”気持ちをちから強く応援します。」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、食事からのカロリー摂取を阻害し、特段の運動や食事制限をすることなく、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
10T社に対する件
(H26.7.17)
T社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、雑誌に掲載した広告において、
① 「飲むだけ簡単!脂肪燃焼専用サプリ ○○○」
② 「3大脂肪 中性脂肪 内臓脂肪 皮下脂肪 を3種の脂肪燃焼専用サプリで徹底燃焼」
③ 「余分な脂肪は1gだって残さない!」
④ 「このサプリで失敗した人は1,000 人中たった1人だけ!」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、体脂肪を燃焼させ、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
11U社に対する件
(H26.6.13)
U社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、ウェブサイトにおいて、
① 「えっ!?普段・・の・食事・・のままで・・・!!」
② 「食べたカロリーを!!今までにないダイエット
③ 「今までのダイエットサプリでは実現出来なかった『普段
の食事ダイエット』を実現。」
④ 「たったの3ヶ月で理想の姿に!!」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
12V社に対する件
(H25.12.10)
V社は、粉末飲料2商品を販売するに当たり、
① 「○○茶」について、新聞折り込みチラシ及びパンフレット等において、「ポリフェノール含有日本一のお茶」、「国民生活センターポリフェノール含有食品358銘柄商品テスト結果より」等と記載することにより、あたかも、独立行政法人国民生活センターによる試験の結果、本件商品がポリフェノール含有量日本一のお茶であると認められたかのように示す表示を行っていた。
しかし、実際には、国民生活センターが「○○茶」のポリフェノール含有量について試験を行った事実はなかった。
② 本件2商品について、パンフレット及び自社ウェブサイトにおいて、「ポリフェノール含有量(100g あたり)」、「○○茶5420mg」、「○○茶 5410mg」、「赤ワイン 250mg」、「コーヒー 168mg」等と記載することにより、あたかも、本件2商品には人体に有益なポリフェノール等が著しく多量に含まれているかのように示す表示を行っていた。
しかし、実際には、ポリフェノール等の含有量を記載するに当たって、赤ワイン等については、そのまま飲食できる状態での100 グラム当たりの含有量を記載しているのに対して、本件2商品については、そのまま飲用できない粉末の状態での100 グラム当たりの含有量を記載しているものであって、本件2商品について、飲用できる状態でのポリフェノール等の100 グラム当たりの含有量は、記載された赤ワイン等のポリフェノール等の含有量を大きく下回るものであった。
第4条第1項第1号
13W社に対する件
(H25.12.5)
W社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、新聞折り込みチラシ及び雑誌等において、
① 「寝ている間に勝手にダイエット!?」
② 「寝る前に飲むだけで努力なし!?」
③ 「以前着ていた洋服もこんなにブカブカ!」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
14X社に対する件
(H25.9.13)
X社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、新聞折り込みチラシ又は商品カタログに同封したチラシ及び自社ウェブサイトにおいて、
① 「私たちはたった1粒飲んで楽ヤセしました!!」、「食べたカロリー・溜まったカロリーなかったことに・・・」、「運動も食事制限も続かな~いという方は必見!!!」
② 「運動も食事制限も続かな~い。という方、必見!しっかり食べてもスッキリダイエット!!」、「ダイエット成功者続々!既に10 万人のダイエッターが実感!?」、「ほんの一粒・・・まさか、ここまで「実感できる」とは思ってなかった・・・。」
等と、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
15Y社に対する件
(H23.11.25)
Y社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、ウェブサイトにおいて、
① 「余分なブヨブヨを燃やして流す!Wのパワー!」
② 「決して食事制限はしないでください。このバイオ菌が恐ろしいまでにあなたのムダを強力サポート」
等と表示していた。消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)
16Z社に対する件
(H23.11.25)
Z社は、痩身効果を標ぼうする食品を販売するに当たり、ウェブサイトにおいて、
① 「気になる部分を何とかしましょう!Wのパワー!」
② 「決して食事制限はしないでくださいこのバイオ菌が恐ろ
しいまでにあなたのムダを強力サポート」
等と表示していた。消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
第4条第1項第1号
(第4条第2項適用)

イ 指導

No指導の内容
1A社は、サプリメントを販売するに当たり、通信販売サイトにおいて、「酵素を効率よく補給すると代謝酵素量が増え、日常生活を変えずにダイエットが可能です。」、「まだ、1食を酵素ドリンクに置き換えてしんどいダイエットをしますか?」、「1日2~3粒のカプセルを飲むダケ 飲んだ翌日から充実の日常が始まります」等と記載することにより、あたかも、本件商品を1日2粒から3粒飲むことによって、日常生活を変えなくても、簡単に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの痩身効果がもたらされるものであるとまでは認められないものであった。
2B社は、清涼飲料水を販売するに当たり、商品パッケージ及び自社ウェブサイトに「『○○茶の茶葉について』○○茶の“茶葉”には、△△△(※特定の野菜)に比べて約25 倍*の食物繊維などが豊富に含まれています。(*100g 当り、当社調べ)」等と記載することにより、あたかも、本件商品には、食物繊維が含まれているかのように示す表示をしていたが、実際には、本件商品は、食物繊維を含むものではなかった。
3C社は、ダイエット食品を販売するに当たり、ウェブサイトにおいて、「酵素を効率よく補給すると代謝酵素量が増え 日常生活を変えずにダイエットが可能」、「まだ、1食を酵素ドリンクに置き換えてしんどいダイエットをしますか?」、「1日2~3粒のカプセルを飲むダケ飲んだ翌日から充実の日常が始まります」等と記載することにより、あたかも、本件ダイエット食品を1日2粒から3粒飲むことにより、日常生活を変えなくても、簡単に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの痩身効果がもたらされるとまでは認められないものであった。
4D社は、ダイエット商品を販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、「飲めば飲むほどに脂肪細胞が次々と破壊されますので一度に何杯もの摂取は本当に危険です。」、「特にお腹周りと下半身は面白いように落ちていきます!!」、「約3個使用で39.9kgまで一気に落ちます!!」と表示していたが、実際には、当該表示どおりの効果があるとまでは認められないものであった。
5E社は、ウェブサイトにおいて、Aダイエット食品を販売するに当たり、「Diet乳酸菌2兆5000億個を腸までダイレクトに注入!!」、「いくら食べても・・・ぜんぜん問題ないのです!」などと、また、Bダイエット食品を販売するに当たり、「驚異のタブレット!!リバウンドを気にしないダイエット法!?」、「驚くほどのクビレが!!」などと表示していたが、実際には、いずれについても当該表示どおりの効果があるとまでは認められないものであった。
6F社は、通信販売の方法等により、健康食品を提供するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、「○○△△には若さがいっぱい! 免疫力・自然治癒力UP!」等と表示していたが、実際には、当該表示どおりの効果があるとまでは認められないものであった。
7G社は、飲料水(本件商品)を一般消費者に販売するに当たり、商品パンフレットにおいて、「○○○パワーウォーター○○○『薬用高○○水』+『素粒子○○水』」、「驚きの不思議な水!ビックリ!即、美白肌に!・・・《様々な病気が改善され!元気に若返ります!》」等と記載することにより、あたかも、本件商品を飲用することにより、様々な病気の治療や美容等の効果があるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果がもたらされるとまでは認められないものであった。
8H社は、清涼飲料水を販売するに当たり、新聞折り込みチラシにおいて、「レモン50 個分」と記載のある旧製品の画像を掲載していたが、実際に販売に供するものは、レモン35 個分のビタミンCを含有する新製品であった。

⑵ 健康増進法勧告事例
「違反法条」は、健康増進法の一部を改正する法律(平成30 年法律第78 号)による改正前
の健康増進法の条文である。

No事件名事件概要違反法条
1A社に対する件
(H28.3.1)
A社は、一般消費者に特定保健用食品を販売するに当た
り、日刊新聞紙において、
① 健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21 年内閣府令第57 号)別記様式第3号に定める特定保健用食品の許可証票とともに、「Aの『○○○』は、消費者庁許可の特定保健用食品です。」
② 本件商品についてのヒト試験結果のグラフとともに、「臨床試験で実証済み!これだけ違う、驚きの『血圧低下作用』。」
③ 本件商品を摂取している者の体験談として、「実感できたから続けられる!10 年くらい前から血圧が気になり、できるだけ薬に頼らず、食生活で改善できればと考えていました。飲み始めて4ヶ月、今までこんなに長続きした健康食品はないのですが、何らか実感できたので継続できています。今では離すことのできない存在です。」
④ 「50・60・70・80 代の方に朗報!」、「毎日、おいしく血圧対策。」、「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”そんな方々をサポートしようとAが開発した『○○○』。」
等と、あたかも、本件商品に血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けているかのように示し、また、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果を得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、本件商品は「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。」を許可表示とし、食生活の改善に寄与することを目的として、その食品の摂取が健康の維持増進に役立つ、又は適する旨を表示することのみが許可されている特定保健用食品であって、血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けているものではなく、また、高血圧は薬物治療を含む医師の診断・治療によらなければ一般的に改善が期待できない疾患であって、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果が得られるとは認められないものであった。
第31 条第1項

⑶ 景品表示法及び健康増進法に基づく指導事例
「指導内容」の違反するおそれがある法条は、健康増進法の一部を改正する法律(平成30 年法律第78 号)による改正前の健康増進法の条文である。

No指導内容
1A社は、「○○○」と称する飲料を販売するに当たり、自社ウェブサイトにおいて、「○○○脂肪の燃焼にかかわり、免疫力を作り出すのに重要です。(不足すると代謝機能が落ち、血中コレステロール値などが上昇しやすくなる。)」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、記載された成分による効果・効能が得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、そのような効果・効能が得られるとまでは認められないものであった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
2B社は、「○○○」と称するサプリメントを販売するに当たり、新聞折り込みチラシ等において、「ジージー・キーン ザーザーの音が気になる方へ・・・」、「聴こえの悩み・不快な雑音・フラフラなど・・・」、「今、聴こえの悩みに 新〈○○○〉が注目!」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、難聴や耳鳴りの改善に効果を得られるかのように示す表示を行っていたが、実際には、当該表示どおりの効果が認められるものではなかった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
3C社は、「○○○」と称する商品を販売するに当たり、
① 自社ウェブサイトにおいて、「毎日のお茶を○○○にするだけで体脂肪が減る!!」、「血中の中性脂肪が半減! 腎臓周辺の脂肪が13%減少! 血糖値が30%低下!」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、体脂肪の減少や血糖値の降下等の効果が得られるかのように
② ダイレクトメール等において「毎日のお茶を○○○にするだけで体脂肪が減る!!」、「血中の中性脂肪が半減! 腎臓周辺の脂肪が13%減少! 血糖値が30%低下!」、「血糖値だけじゃない!ガンにも凄い効果が!」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、体脂肪の減少や血糖値の降下、ガンに効果が得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果が得られるとまでは認められないものであった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
4D社は、「○○○」と称する食用油を販売する当たり、自社ウェブサイトにおいて、「コレステロールの低下」、「しわ予防」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、コレステロールを低下させる効果、しわ予防等の効果が得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果が得られると認められるものではなかった。また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
5E社は、「○○○」と称する食品を販売するに当たり、「△△△」と称するウェブサイトにおいて、「血糖値・生活習慣病が気になる方、人臨床治験で証明 2015年3月 薬事法改定後全面公開」、「○○○は、糖尿病をはじめ生活習慣病の大部分に効果を発揮します。」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、糖尿病等の生活習慣病の治療に効果があるかのように表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果があると認められるものではなかった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
6F社は、「○○○」と称する食品を販売するに当たり、フリーペーパーにおいて、「肥満やメタボ解消に もう炭水化物を我慢しない!」、「食べてもなかったことにする? 糖質ダイエット!」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、食事制限等をすることなく、容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果が得られると認められるものではなかった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
7G社は、「○○○」と称する清涼飲料水を販売するに当たり、「□□□」と称するウェブサイトにおいて、「病者用食品」と記載することにより、あたかも、本件商品について、消費者庁長官の許可を得た特別用途食品の一つである「病者用食品」であるかのように示す表示をしていたが、実際には、「病者用食品」として、消費者庁長官の許可を受けたものではなかった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
8H社は、「○○○」と称するサプリメントを販売するに当たり、クーポン共同購入サイトに開設したウェブサイトにおいて、「減量&運動嫌いでも、細くて無駄のない凸凹マッチョな肉体のモテる男を≪細マッチョ!メンズダイエット」」、「1日3~4粒!あの頃のように自慢のマッチョを」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動及び食事制限を行うことなく、誰もが容易にたくましく引き締まった体に変貌するかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果が得られると認められるものではなかった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。
9I社は、「○○○」と称する食品を販売にするに当たり、一般日刊紙において、「大人の腕ほどもある巨大な豆『なたまめ』は、古来より不快な粘りを一掃してくれえるといわれ、グズグズや、ノドの奥のしつこいネバつき、不快感をスッキリさせてくれるとされています。」、「その秘密はなたまめに含まれるカナバニンとよばれる有用成分。このカナバニンは近年、注目を集めている話題の成分で、『なたまめ茶』はその有用成分を無理なく摂取できるお茶として、多くの人たちから好評をいただいております。」等と記載することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、鼻のグズグズやノドのネバつき等の症状を緩和できるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該表示どおりの効果が得られると認められるものではなかった。
また、本件については、健康増進法第31 条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案として指導を行った。

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