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2022.05.01
機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性 の確保等に関する指針(抜粋)

本指針の目的

機能性表示食品(食品表示法(平成25 年法律第70 号)第4条第1項の規定に基づく食品表示基準(平成27 年内閣府令第10 号)第2条第1項第10 号に規定する機能性表示食品をい
う。以下同じ。)の製造及び販売に際しては、食品関連事業者(食品表示法第2条第3項第1号に規定する食品関連事業者をいう。以下「事業者」という。)が自らの責任において当該食品の安全性及び機能性を確保するため、必要な知識及び技術の習得、原材料の品質の確保、自主点検の実施等に努めることが求められる。
本指針は、食品に対し機能性の表示を行う上で、科学的根拠として明らかに不適切であると判断される事例等や、機能性表示食品の容器包装やポスター、各種広告媒体等において顧客を誘引するための手段として行う広告その他の表示(以下「広告その他の表示」という。)
を規制する各法令上問題となるおそれがある事例等を示すことにより、機能性表示食品に対する食品表示法、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37 年法律第134 号。以下「景品表示法」という。)及び健康増進法(平成14 年法律第103 号)に基づく事後的規制(自主規制を含む。以下「事後チェック」という。)の透明性を確保し、不適切な表示に対する事業者の予見可能性を高めるとともに、事業者による自主点検及び業界団体による自主規制等の取組の円滑化を図ることにより、事業者の健全な広告等の事業活動の推進及び消費者の自主的かつ合理的な商品選択の機会を確保することを目的として策定するものである。
なお、事業者には、本指針第1の内容を踏まえ、表示の裏付けとなる科学的根拠が、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(平成27 年3月30 日付け消食表第141 号。以下「ガイドライン」という。)に即していることを十分に確認の上、届出することが期待されるとともに、本指針第2の内容を踏まえ、適正な広告その他の表示を行うことが期待されるものである。

第1 機能性表示食品の科学的根拠に関する事項

1 基本的な考え方
機能性表示食品は、表示される機能性について国が審査を行った上で消費者庁長官が個別に評価をしたものではない。したがって、表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠くと認められる場合には、その表示は事後チェックにおいて問題となるおそれがある。機能性表示食品の科学的根拠に関する考え方は、ガイドラインにおいて食品表示基準上の考え方が示されているほか、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(平成28 年6月30 日公表。以下「健食留意事項」という。)において景品表示法及び健康増進法上の考え方が示されているが、本指針第1では、機能性表示食品の科学的根拠について、ガイドライン及び健食留意事項の考え方を踏まえつつ、届出の事後チェックの透明性の確保等に資する観点から、より詳細に示すこととする。
なお、ガイドラインにおいては、機能性表示食品の科学的根拠とすることができない旨が明示されている事項がある一方、「適切に」等のように、その内容が具体的に示されていない事項もある。こうした事項については、本指針において適否の境界となる水準を一律に示すことは困難である。このため、以下においては、科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例等を例示することとする。なお、以下に示すものはあくまで例示であり、具体的な適否は、個別事例ごとに判断されることに留意する必要がある。

2 科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例
(1)最終製品を用いた臨床試験(ヒト試験)及び研究レビューに共通する事項
ア 届出資料において、表示する機能性に見合ったリサーチクエスチョン(PICO 又はPECO)は設定されているが、表示の内容が、科学的根拠の内容に比べて過大である、又は当該根拠との関係性が認められない場合
【例】
・主要アウトカム評価項目(通常1つを設定)において表示する機能性についての有意な結果が得られていないもの
・表示する機能性について、主要アウトカム評価項目が複数設定されている場合であって、一部のアウトカム指標で有意な結果が得られているが他のアウトカム指標では有意な結果が得られていないときに、その関連性を踏まえた説明がされないもの
イ 限定的な条件下での結果であり、条件を限定しない場合には特定の保健の目的が期待し難いと考えられる結果であるにもかかわらず、表示の内容では当該条件に何ら言及していないもの
ウ 根拠論文が撤回され、機能性表示の科学的根拠となる査読付き論文が存在しなくなった場合
エ エキス及び分泌物(以下「エキス等」という。)に含有される特定の成分を機能性関与成分としているものであって、当該特定の成分のみでは表示する機能性を根拠論文等により合理的に説明できない場合
オ エキス等を機能性関与成分とする場合において、指標成分が機能性関与成分たるエキス等との同等性を確保できることについて、合理的に説明できない場合
カ 根拠論文の対象者の一部に疾病に罹患している者が含まれる場合に、適切な層別解析がなされず、疾病に罹患している者が除外できていない場合(ガイドラインにおいて、例外的に軽症者が含まれたデータの使用を認めることとしている領域を除く。)

(2)最終製品を用いた臨床試験(ヒト試験)
ア 試験の実施計画又は実施方法に不備がある場合
【例】
・臨床試験(ヒト試験)の計画が、ガイドラインに規定する登録システムに事前登録されていない場合(食品表示基準施行(平成27 年4月1日)後1年を超えない日までに開始された研究を除く。)
・UMIN 臨床試験登録システム等への事前登録後に、機能性の実証に係る項目(主要アウトカム評価項目、副次アウトカム評価項目、試験デザイン、介入、適格性、統計解析方法等)に関して適切な手続を経ずに実質的な変更を行った研究である場合
・倫理審査委員会の承認を受けていない場合
・プラセボ食等を摂取する対照群が設定されていない場合
・介入群に評価指標が高値又は低値の者が恣意的に割り振られている等、介入群と対照群で適切な参加者の割り付けが行われていない(ランダム化の手順が適切になされていない)場合
イ 試験結果の評価に不備がある場合
【例】
・主要アウトカム評価項目における介入群と対照群の群間比較で統計的な有意差(有意水準5%)が認められていない場合
・評価指標について、当該分野の学術的なコンセンサス等の観点から当該機能性を評価する指標として合理的な説明がされない場合
・評価指標に主観的な指標を用いる場合、日本人への妥当性が得られたものであり、かつ、当該分野において学術的に広くコンセンサスが得られたものであることについて合理的な説明がされない場合

(3)最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー
ア 研究レビュー結果の客観性・透明性を担保するために必要な資料について下記の情報等に関し客観性・透明性が担保されない場合
【例】
・論文の検索条件や採択・不採択の論文情報等、結論に至るプロセス
・当該研究レビューにおけるスポンサー、共同スポンサー(研究の発案、運営及び資金の全て又はいずれかに責任を負う個人、企業、研究機関又はその他の団体)及び利益相反に関する情報
・出版バイアスの検討結果
イ 研究レビューで採用した論文(臨床試験(ヒト試験)の内容(試験デザイン、試験方法、対象者、結果の評価等))について不備がある場合
【例】
・RCT(ランダム化比較試験)で表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない場合
・表示する機能性に見合ったアウトカムを適正に研究レビューへ反映せず、肯定的な結果のみを恣意的に選出している場合
ウ 研究レビューにおける成分と届出食品中の機能性関与成分との同等性が担保されない場合
【例】
・研究レビューで評価した成分(エキス等を含む。)と届出食品中の機能性関与成分の同等性(含有量、フリー体又は塩若しくはエステル体等の別、基原を表示する場合にはその基原、エキス等の場合は抽出方法や製法等)が合理的に説明されない場合
・研究レビューで有効性が確認された量よりも届出食品中の機能性関与成分の含有量が少ない場合(ガイドラインに基づき機能性が報告されている一日当たりの機能性関与成分の量に占める割合を表示する生鮮食品を除く。)
・研究レビューで有効性が確認された際の摂取時の形態や剤型と届出食品での形態や剤型が異なる場合において、有効性が確認された機能性関与成分の有効量の同等性が合理的に説明されない場合

エ 「totality of evidence」の判断(採用論文数、最終的に肯定的と判断できる要素等)が適切になされているとはいえない場合
【例】
・バイアスリスクを著しく過小評価した論文を基に、肯定的な結論を導き出している場合
・表示する機能性に対し否定的な結論である論文のデータを恣意的に除いてメタアナリシスを実施している場合
・表示する機能性について総合的に肯定されるとの判断をするに至った合理的な理由が具体的に示されない場合
・表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない場合
・結果の客観性・透明性を担保するために必要な情報が示されない場合

第2 広告その他の表示上の考え方

1 基本的な考え方
機能性表示食品の広告その他の表示の内容が、ガイドライン、健食留意事項及び本指針に沿って、客観的に実証された根拠を裏付けとして届出された機能性の範囲内である限り、広告その他の表示を規制する各法令上問題となるおそれはない。しかし、当該内容が、届出された機能性の範囲を逸脱する場合、各法令上問題となるおそれがある。広告その他の表示に係る規制のうち、景品表示法は、事業者が自己の供給する商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良と示し、又は事実に相違して他の事業者に係るものよりも著しく優良と示す表示を禁止している。広告その他の表示の内容が、届出された機能性の範囲を逸脱して景品表示法に違反する場合、故意・過失がなかったとしても、同法に基づき必要な措置が命じられるほか、当該表示を行ったことにつき相当の注意を怠ったものではないと認められる場合を除き、違反行為防止の実効性を高めるための課徴金の納付が命じられることに鑑みれば、事業者は、広告その他の表示の内容が同法に違反しないよう特に留意する必要がある。
機能性表示食品に関する景品表示法上の考え方については、健食留意事項において、他の健康食品と共に留意すべき点が示されているが、本指針第2では、機能性表示食品の広告その他の表示のうち、その内容に係るものについて、事業者の予見可能性を高めるとともに、事後チェックの透明性を確保する観点から、健食留意事項の考え方及び本指針第1を踏まえつつ、事業者が留意すべき事項を改めてより詳細に示すこととする。
なお、これら景品表示法上の留意すべき事項を踏まえ、同法上、実際のものよりも著しく優良であると誤認させるおそれがないと判断される広告その他の表示については、食品表示法及び健康増進法の各法令上の要件に照らした重畳的表示規制において、問題となるおそれはないと判断されるものである。

2 景品表示法上問題となるおそれのある広告その他の表示の要素
機能性表示食品は、容器包装の表示と共に、通常、様々な広告媒体においても、当該食品の機能性を訴求する表示が行われている。実際のものよりも著しく優良であると示す表示はしてはならないとする景品表示法上の定めにおいて、具体的に何が一般消費者に実際のものよりも著しく優良であると誤認される場合に該当するかの判断は、個々の広告その他の表示に即してなされるべきではあるが、例えば、それら広告その他の表示において、顧客を誘引するために用いられている表示要素別に、届出された機能性の範囲を逸脱して景品表示法上問題となるおそれのある事項を整理すると以下のとおりである。
(1)解消に至らない身体の組織機能等に係る問題事項等の例示
届出された食品又は機能性関与成分が有する機能性では解消に至らない疾病症状に該当するような身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示して表示することや、当該食品又は当該機能性関与成分が有する機能性ではおよそ得られない身体の組織機能等の変化をイラストや写真を用いるなどにより表示することは、一般消費者が、表示全体から受ける印象によって当該食品を摂取するだけで当該身体の組織機能等に係る問題が解消されるものと誤認する蓋然性があり、そのような表示は、届出された機能性の範囲を逸脱したものとして景品表示法上問題となるおそれがある。
(2)届出された機能性に係る表示
ア 機能性表示食品に含有される成分のうち、機能性関与成分に関する資料については、ガイドライン及び本指針に沿って客観的に実証された届出資料である限りにおいて、景品表示法で求められる「合理的な根拠を示す資料」(以下「合理的根拠資料」という。)として評価される。したがって、当該食品の届出された機能性の範囲内で機能性関与成分の説明を表示することは景品表示法上問題とはならない。他方、機能性関与成分であっても、届出された機能性の範囲を逸脱した説明は、景品表示法上問題となるおそれがある。
なお、「合理的根拠資料」については「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」(平成15 年10 月28 日公正取引委員会公表、平成28 年4月
1日消費者庁一部改正)において考え方が示されている。
イ 機能性表示食品は、食品表示基準第9条第1項第8号ロ及び第23 条第1項第6号ロの規定により、食品表示基準第7条の規定に基づく栄養成分の補給ができる旨及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示をする場合を除き、消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を含む。)を強調する用語の表示は禁止されている。仮に広告その他の表示において、機能性関与成分以外の含有成分を強調した表示をすることは、一般消費者が、機能性表示食品に含まれる成分には科学的根拠があるものとの保健機能食品制度全体に対する一定の信頼を有していることに鑑み、当該成分が機能性関与成分であるかのように誤認する蓋然性があり、景品表示法上問題となるおそれがある。
ウ 機能性表示食品は、疾病に罹患している者を対象とするものではなく、疾病の予防・治療等を目的とした医薬品的効果効能を表示することはできない。このため、広告その他の表示において、医薬品や医薬部外品で認められているような効果効能を標ぼうすることは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35 年法律第145 号)に抵触するおそれがあることは言うまでもなく、届出された機能性の範囲を逸脱したものとして景品表示法上問題となるおそれがある。
エ 届出された機能性の科学的根拠が得られた対象者の範囲が限定されているにもかかわらず、当該対象の範囲外の者にも同様の機能性が期待できるものとして訴求することは、一般消費者が対象者の特性を問わず表示される機能性が期待できるものと誤認する蓋然性があり、景品表示法上問題となるおそれがある。
(3)実験結果及びグラフ
広告その他の表示において試験結果やグラフを使用する場合、試験条件(対象者、人数、摂取方法等)が視認性をもって明瞭に表示されていないことにより、一般消費者が機能性に関して、特段の条件なく誰でも容易に効果を得ることができるかのように誤認する蓋然性があるときは、景品表示法上問題となるおそれがある。
また、試験結果を示すグラフを極端にトリミングやスケール調整等をすることにより、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示することなども景品表示法上問題となるおそれがある。
さらに、広告その他の表示において機能性表示食品の届出された機能性の科学的根拠とした試験結果以外の一般的な学術情報や統計資料等を引用して表示する場合、当該資料等の内容が届出された機能性の範囲を逸脱したものであるときは、景品表示法上問題となるおそれがある。
なお、機能性関与成分に関する研究レビューにより届出された機能性表示食品の広告その他の表示において、当該研究レビューで用いた論文の試験結果やグラフを表示する場合にあっては、引用するグラフ等が当該届出の最終製品を用いた試験のデータであると誤認されないよう、当該グラフの選択理由及び最終製品を用いた試験結果ではないことなどを、視認性をもって明瞭に表示するよう留意する必要がある。
(4)医師や専門家等の推奨等
医師や専門家等が機能性表示食品を推奨等すること自体が直ちに景品表示法上問題となるおそれにつながるものではない。
しかしながら、当該推奨等の内容が届出された機能性の範囲を逸脱しているものである場合、景品表示法上問題となるおそれがある。
その他、以下の場合においても景品表示法上問題となるおそれがある。
・医療関係者、大学教授など権威のある者による感想文や推薦文において、特定の疾病名を示すことにより、当該疾病の予防・治療効果が得られるかのように表示する場合
・推奨等の事実がないにもかかわらず、当該推奨等を得ているかのように表示する場合
・推奨等が当該食品の効果を全面的に肯定していないにもかかわらず、肯定している部分のみを引用する場合
・有償、無償を問わず、肯定するよう特に依頼して行われた利害関係者の推奨等であるにもかかわらず、客観的な立場からの推奨等であるかのように表示している場合
・推奨者の肩書を、事実に反して、当該食品の利用者にとって信頼される専門家であるかのように表示する場合
(5)体験談
購入者による体験談は、医師や専門家等の推奨と同様に一般消費者の商品選択に大きな影響を与える表示要素の一つである。体験談において機能性表示食品の効果に言及されている場合、一般消費者は、当該効果は当該機能性表示食品の効果を表すものと認識することとなる。このため、断定的な表現を用いて効果を保証するかのような表現を用いたり、治療や投薬等の医療が必要でないかのような表現を用いたりするなど、当該体験談の内容が届出された機能性の範囲を逸脱する場合は、景品表示法上問題となるおそれがある。
また、以下の場合においても景品表示法上問題となるおそれがある。
・体験談が架空の場合
・体験談のうち、効果に係る都合のよい部分のみを掲載する場合
・有償、無償を問わず、肯定するよう特に依頼した体験談であるにもかかわらず、
一般の利用者の体験談であるかのように表示する場合
さらに、体験談において機能性表示食品の効果に言及されている場合において、一般消費者の誤認を招かないようにするためには、当該体験談を表示するに当たり事業者が行った調査における①体験者の数及びその属性、②そのうち体験談と同じような効果が得られた者が占める割合、③体験者と同じような効果が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示することが推奨される。
なお、体験談に係る打消し表示(事業者が自己の販売する商品等を一般消費者に訴求する方法として、断定的表現や目立つ表現を使って、当該内容等を強調した表示(以下「強調表示」という。)からは一般消費者が通常は予期できない事項であって、一般消費者が当該商品等を選択するに当たって重要な考慮要素となるものに関する表示をいう。以下同じ。)については、後記3において景品表示法上の考え方を示す。
(6)届出表示又は届出資料の一部を引用した表示
機能性表示食品について、広告その他の表示において、届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱した表示を行う場合、本来期待される効果の範囲を逸脱した過大な効果が得られるかのような誤認を与えるとともに、このような過大な効果についても、機能性表示食品として届出されているかのような誤認を与える蓋然性があり、景品表示法上問題となるおそれがある。特に、容器包装においてそのような表示を行う場合、たとえ届出表示の全文が容器包装上に記載されていたとしても、当該表示の顧客誘引性が極めて高いことに鑑みれば、過大な効果が得られるかのように誤認を与える蓋然性があることに十分に留意する必要がある。
また、届出資料に用いた論文を広告その他の表示において引用する際に、届出表示及びその根拠となる論文から逸脱した内容を表示した場合、景品表示法上問題となるおそれがある。
(7)その他留意すべき事項
機能性表示食品の広告その他の表示において、効果を暗示させる文言、図柄は、一般消費者の商品選択に強く影響を与える要素の一つである。このため、こうした要素についても一般消費者がどのように認識するかについて、あらかじめ十分に考慮の上、届出された機能性の範囲を逸脱した表示をすることのないよう留意する必要がある。
また、機能性表示食品の広告その他の表示においても他の一般的な商品又は役務の広告その他の表示と同様に、例えば、「売上NO.1」などといった商品の優良性を示す表示が行われることがあるが、その根拠が極端に短い期間のものであったり、対象者が限られていたり、機能性表示食品として届出する以前の当該食品の売上実績を合算したりする場合は、それらが明瞭に記載されていない場合、一般消費者に実際よりも著しく優良なものと誤認させる蓋然性があり、景品表示法上問題となるおそれがある。

3 打消し表示
機能性表示食品の表示においても、打消し表示が行われる場合がある。打消し表示が強調表示と同一視野に記載されていなかったり、同一視野であっても離れた箇所に記載されていたり、隣接した箇所に小さな文字で記載されるなど、強調表示と一体として認識されない表示方法である場合には、景品表示法上問題となるおそれがある。また、打消し表示の内容についても、それが打消し表示として理解されない場合、記載自体が一般消費者に認識される表示方法で記載されていても景品表示法上問題となるおそれがある。
特に、体験談については、これに関連する「個人の感想です」等の表示が一般消費者に認識されるものであったとしても、体験談で示された効果に係る打消しの効果は認められないことに十分留意し、体験談に表示されている内容が届出された機能性の範囲を逸脱していないかを、十分にチェックする必要がある。

4 誤認される「表示」の判断
一般消費者に誤認される表示かどうかは、特定の文言、写真等のみから一般消費者が受ける印象、認識から判断されるのではなく、前記2の各表示の要素によって構成される表示全体から一般消費者が受ける印象、認識から判断される。例えば、過去の景品表示法違反事例に鑑みれば、届出された機能性の内容が「肥満気味の方の内臓脂肪を減らすのを助ける機能性がある。」であるにもかかわらず、前記2の各表示の要素によって構成される表示全体から、あたかも、特段の運動や食事制限をすることなく、誰でも容易に腹部の痩身効果が得られるかのような印象、認識を一般消費者が受けるものと判断される場合、届出された機能性の範囲を逸脱したものとして景品表示法に違反することとなる。
また、機能性表示食品に係る効果について、様々な要素を多用することによって、一般消費者に届出された機能性の範囲を逸脱した効果が得られるとの認識を強く印象付け
るものとなっている場合、打消し表示が隣接した場所に明瞭に記載されていたとしても当該効果に関する認識を打ち消すことにならないことがあり得ることに留意する必要がある。
さらに、表示の受け手に対して顧客誘引効果を持つものか否かの判断は、客観的になされるものであり、事業者の主観的意図では判断されないことに留意する必要がある。
5 景品表示法上問題となるおそれのある主な表示の類型
前記2ないし4の留意すべき事項に鑑み、機能性表示食品の広告その他の表示について、表示内容別に景品表示法上問題となるおそれのある主な表示の類型を整理して示すと以下のとおりである。

(1)届出された機能性の範囲を逸脱した表示
機能性表示食品について、届出された機能性の範囲を逸脱する表示をする場合には、その表示は景品表示法上問題となるおそれがある。
(2)特定保健用食品と誤認される表示
機能性表示食品は、特定保健用食品(健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21 年内閣府令第57 号)第2条第1項第5号に規定する食品(容器包装に入れられたものに限る。)をいう。以下同じ。)とは異なり、表示される機能性や安全性について国が審査を行った上で消費者庁長官が個別に許可をしたものではない。そのため、機能性表示食品を特定保健用食品と誤認させる蓋然性がある表示は、景品表示法上問題となるおそれがある。
(3)国の評価、許可等を受けたものと誤認される表示
機能性表示食品は、表示される機能性について国が審査を行った上で許可等を与
えたものではない。したがって、国による評価、許可等を受けたものと誤認される
蓋然性がある表示は、景品表示法上問題となるおそれがある。
(4)表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている場合
機能性表示食品は、表示される機能性について国が審査を行った上で消費者庁長官が個別に許可をしたものではない。したがって、表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠くと認められる場合には、その表示は景品表示法上問題となるおそれがあるが、その判断に当たっては本指針の第1及び他の情報を総合的に勘案することとなる。

第3 届出資料の不備等における景品表示法上の取扱い

本指針に基づき、機能性表示食品の販売前に、消費者庁、事業者及び事業者団体等による事後チェックが適切に運用される限りにおいて、景品表示法上問題となるおそれは想定されないことを前提とするものではあるが、届出資料の不備等の問題が明らかとなった場合には、原則として以下のとおり取り扱う。
(1)事業者が、表示の裏付けとなる科学的根拠について、ガイドライン及び本指針第1に沿って、機能性表示食品に関する科学的知見及び客観的立場を有すると認められる機関又は組織等において妥当であるとの評価を受けるなど、適切な客観的評価により表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いているものではないと判断されるものについては、景品表示法上問題となるものとは取り扱わない。
(2)新たな科学的知見により、届出された根拠資料が科学的な合理性を欠くこととなることが判明した場合には、食品表示基準に規定する機能性表示食品の要件を満たさな
くなるため、ガイドラインに基づき速やかに届出の撤回を行う必要があるとともに、景品表示法上問題となるおそれが生じ得るが、当該事象を速やかに把握し、当該撤回の対応を速やかに行った限りにおいて、景品表示法上問題となるものとは取り扱わない。
(3)届出資料に形式的な不備がある場合、これが当該機能性を左右するものでない限り、景品表示法上問題となるものとは取り扱わない。

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